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モノ作りの宿命は進化し続けなければならないことだ。
ただ今日の不況もあって、
その進化のための研究費や設備投資を、国や企業が負担できなくなっている。
さらに伝統も含めて、モノ作りの大切な担い手である、
世界に誇れる日本の職人に対する報酬は決して多いとはいえないし、
彼らに対するリスペクトも充分ではないように思われる。
本来なら私たちが一番大事にしなければならない産業の担い手のはずなのに、
議論も真剣になされていない。これは深刻な問題だと思う。
日本のモノ作りの技術は、世界一のクオリティを誇れるものが多い。
ただ、これまでのメイド・イン・ジャパン、
つまり日本製品が世界で勝負できたのは、実はブランド力ではなく、
高いクオリティに対する“値ごろ感”だった。
結局、技術を極めても、一部の家電製品を除けば
最高級ブランドとして世界に認められていなかったのだ。
本来はもっとプライドを持って
オリジナルブランドを確立していてもおかしくないのに、
ステイタス感や“いくら出しても買いたい”と思わせるような付加価値から言えば、
世界最高水準の技術を持つ自動車や時計も海外ブランドに遠く及ばない。
もちろんすべてではないが、
昔から日本の雑誌やメディアのほとんどが
舶来物に魅了されてきたように思えてならない。
昔のほうが、今以上に日本のモノ作りの位置が確立していたハズなのに。
そして、我々自身が世界に誇れるブランドがあることに気付いていなかった。
今なお、歌舞伎や能、京都の着物などの伝統芸能や技術は、
欧米の人たちには圧倒的な人気を誇っている。
海外からのリスペクトがあるのにもかかわらず、
日本人自身は、本来誇るべき自国の文化について、
熟知しているとはいえない。これは非常に残念なことだ。
そろそろ我々は、日本が世界に誇る
“ステイタスブランド”とは何かを真剣に考えるべきだ。
そのためには、日本の伝統や繊細な技術を熟知する職人を守り、
経済や海外展開についてしっかり意識できるプロデューサーを育て、
同時に大学で伝統技術の講座などを充実させる必要があるのではないか。
そうすれば職人の後継者も生まれるし、
新しい日本のモノ作りの価値も生まれるに違いない。
日本の技術が消えようとしている今こそ、
産業と伝統技術が一つになっていかなければならない時代なのではないかと思う。
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【PROFILE】
作家/真山仁
新聞記者を経て小説「ハゲタカ」で作家としてデビュー。
緻密な取材に基づいたリアルな社会背景を舞台に個性的なキャラクター描写、
深い人間ドラマでスケール感のある数々の社会派作品を執筆 |
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